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大阪高等裁判所 昭和58年(ラ)324号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

1 一件記録によると、本件免責申立に対する異議申立人山本敏雄は、抗告人の負債の大半は賄博によるものである旨主張し、原審証人松本豊、同端本敏洋、同松本隆司の各証言によれば、抗告人が賭博ゲームや賭マージャンにより賭博をしたり、スナックにしばしば飲みに行くなどしたことが認められる。しかし右賭博における賭博額についての右各証人の証言は伝聞部分が多く、あいまいで、必ずしも明確ということはできず、右証言によつては、抗告人がこれらの行為により多額の負債を負うに至つたものといまだ認めるに足りない。もつとも抗告人は、原審において、本件破産の一原因は、実父の入院のために約一三〇〇万円の借財をなしたことにある旨供述するが、その入院等の期間が約一年半の比較的短期間というにあるから、国民健康保険制度のもとで、抗告人が供述するような多額の費用を要するかは極めて疑問であつて、抗告人の右供述部分は、にわかに措信し難く、このことと相俟つて、抗告人は右賭博行為等により、かなりの負債を負うに至つたものでないかを疑いえないではない。しかし他方抗告人の原審における供述及び報告書、破産管財人作成の報告書(第一回)によれば、知人の債務の連帯保証をしたことから、抗告人の債務を増大させたことも窺われ、また破産法三六六条ノ九に該当する事実は、具体的に認定される必要があるから、以上の証拠関係によつては、いまだ抗告人が、右賭博行為又は浪費行為により、「著ク財産ヲ減少シ又ハ過大ノ債務ヲ負担スル」(同法三七五条一号)に至つたものと認めるに足りないというべく、他にこれを認めうべき確証はない。

そうすると前記異議申立人主張の免責不許可事由は認められないといわなければならない。

2 しかしながら本件破産事件記録中の破産管財人作成にかかる昭和五六年六月一日付報告書によると、破産者である抗告人は、破産宣告(昭和五五年六月二五日午後一時)後の昭和五五年八月頃より行方不明となり、破産管財人において、抗告人の所在確認に努力したものの、右報告書作成時現在に至るも、その所在が不明となり、抗告人の協力が全くえられないもとでの管財事務遂行に大きな障害があつたことが認められるから、抗告人の右行為は破産法一四七条(破産者の居住制限)に違反し、同法三六六条ノ九第五号に該当するといわざるを得ない。

そして右事実によれば、控告人の本件免責は不許可とするを相当とすべきである。

3 そうすると抗告人を免責しない旨の原決定は、結局正当であり、抗告人の本件抗告は理由がない。

よつて抗告人の本件抗告を棄却することとし、主文のとおり決定する。

(小林定人 坂上弘 小林茂雄)

抗告状<省略>

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